2009/01/05

ご 回 答 者 
患者様情報 年齢:54歳、性別:男性 ID:0323

  質 問  

平成19年6月22日に左下6部位に5MSを植立した方のケースです。
同部位は感染根管で平成18年11月22日に抜歯+ソケットプリザベーションを行い、その後インプラントを植立しました。
植立時骨幅が5mmの径に少し足りず、歯頚部近心頬側に裂開がみられたので骨補填材を置き、吸収性メンブレンを2枚置き同時にGBRをした上で縫合しました。術後3週で GBR部位にメンブレンが見えそうな弁の裂開がみられ、レーザー照射にて経過観察を続け、8月には弁のクリーピングもみられ、定期検査にしておりました。
11月にテンポラリーを製作する予定で来院して頂き排膿に気付きました。
11月に先生のご指導のもと、歯肉を開けて、掻爬をし、
平成20年3月1日に補綴まで終了しました。

定期検診に来て頂いていますが、デンタルの像の骨が徐々に吸収されているように見受けられます。
好ましくないと思いますが、プロービング出来てしまうのでプロービングすると、インプラント体の周囲に凹状に骨が吸収されているようです。
排膿は肉眼で見る限りはありません。

排膿部位の歯肉フラップを開けて骨の状態を確認していいのでしょうか。
フラップを開けた後の適切な処置はどういったものになるのでしょうか。

患者さんは、来週定期検診でいらっしゃいます。

  回 答  

骨幅が5mmないところにあえて5mmを植立しなくてもAQBインプラントであれば、4mmで十分です。また近心頬側部がたとえ裂開してもAQBインプラントの場合、骨膜でしっかり覆ってあげれば、バイオインテグレーションで骨を誘導、いわゆる骨伝導能に優れていますので骨はできます。
骨補填材、吸収性メンブレンで再生された骨は、たいてい吸収されると考えてください。たいていは感染をおこし、異物にしかならないということを念頭において、せっかくAQBをやっているのですから、インプラントに頼って埋入していただければと考えます。先生ぐらいの実力があれば、もっと肩の力を抜いて楽にインプラントに接していただければと思います。

 なお今回の場合、歯肉を剥離して、インプラント周囲を十分に掻爬(不良肉芽を掻爬)していただくことが最良です。出血させ、あらためての創傷治癒を起こさせることが重要です。術後はアクロマイシン(ペリオフィールなどでも結構)を創部に注入させ、さらに全身投与としてマクロライド系か、クラビットなどのニューキノロン系抗生物質を投与してください。なおこのとき、いまある骨も表面は少し鋭ヒで掻爬し、少々出血させることも重要です。

 先生にはぜひ、このことを申し上げたいのですが、骨膜にまさる膜はありません。AQBの骨伝導能は、本当に侮れません。異物をいれることは、逆に骨を吸収させてしまいます。今後は、心配せず、人工膜は使用せずインプラント臨床を幅広く行っていただきたいと思います。みなで、頑張りましょう。

  質 問  

丁寧なご教示ありがとうございました。

先生がおっしゃるようにどんな処置においてもシンプルに行えるほうが結果、うまくいくことが多いと常々感じています。

もう三点確認させてください。
1)インプラント体を中央に置き、その周囲をクレーター状に吸収している骨はクレーター状のままでいいのでしょうか。
2)インプラントもHA層がみえている状況と思いますが、そのままでいいのでしょうか。
3)フラップを開けるのに何か注意点はないのでしょうか。

  回 答  

大学勤務医であった20年間、わたしは、臨床で特に口腔外科手術に関しては、いろいろなことにチャレンジしてまいりました。手術をすればするほど術式がシンプルになってきている自分を指摘されたことがあります。
それでは、質問に答えさせていただきます。

1)骨が造成されるためには、周囲に骨があることが条件です。つまりクレーター状に骨が吸収されている場合、クレーターの内側を出血させ、再創傷治癒を図ることが基本であり、骨を切削したりしないことです。

2)この点が一番の問題となります。感染をしていると、正常な骨膜ではなくなるため骨膜でおおっていても骨芽細胞が遊走してきません。アパタイト層が露出している場合、その周囲の不良肉牙を徹底的に除去することは、必須であります。そして、健常な血餅でインプラント体を覆ってあげることが必須となります。これで、インプラントが動揺してきた場合は、いったんはあきらめざる終えません。それ以上は無理です。
こうならないように、インプラント体を気持ち深めに埋入することが必要となります。つねに、考えなければいけないことは、骨が自然にできる環境を作ることです。

3)フラップを開けるpointはただひとつ。骨膜を傷つけず骨膜から、フラップを上手に剥離することです。骨膜が健常でなければ骨は再成しないことを念頭においてください。先生、頑張りましょう

  質 問  

毎回丁寧なご指導ありがとうございます。口腔外科の領域で長く診療をされている先生の発言には重みがあります。

1/11、先日患者さんが来院され、歯肉を開け確認しました。
その状況を写真で添付致します。
スレッドまで見える骨吸収でした。HA層も完全に感染し、簡単に剥離してきました。
動揺はありませんが、骨吸収の状況からは抜去が適切かと思いました。

今回は私のできる範囲で不良肉牙を掻爬し、骨から出血させ歯肉で完全に覆いました。

先生が抜去するならば
1)いつやるか
2)抜去後どういっった処置をするか
3)骨に結合している部分でなかなか抜去出来ないとき、どうするか
4)抜去窩に何かいれる、
5)減張切開などを用い、歯肉で完全に覆うか
さらにご教示いただけないでしょうか。

骨補填材の種類や、ソケットプリザベーションの処置等に問題があったとは思いますが、今回のケースでつくった骨のもろさを痛感しました。

  回 答  

先生は真剣に臨床をされていますね。新しいことにもチャレンジし、自分でその効果を体感しているということはすばらしいことです。それでは、画像を拝見しながら私の感想を述べさせていただきます。

先生、失礼なことを言う非礼をお許しください。まず、最初に驚いたのは、インプラント周囲骨がここまで吸収されているのは、はっきりいって見たことがありません。ただ、これは、先生の名誉のため言わせてもらいますが、先生の手技の問題ではありません。

おそらく骨補填材や、膜が感染し、最初にあった骨以上に骨が吸収されてしまっている状態であると考えます。骨補填材や、人工膜を使用し骨が造成される基本は、先生のご存知のように、感染させずに完全に骨膜で覆うことにあります。それがなかなかできないので、私は、自分のstudy groupの先生方には、減張切開がしっかりできないならば、決して補填材、膜は使用するなといっています。せっかく骨を誘導する能力がある(いわゆる骨伝導能)があるAQBインプラントを使用しているわけであるから、それを最大限有効に利用すればいいのであって、それが他社のインプラントと決定的にちがうmeritです。それをいかすことが、AQBユーザーの証なのです。

1)抜去をする時期というのは、そのときの状態、条件によってことなりますが、基本的には、動揺しているインプラントをレジンコアで完全に動かなくさせた状態で3ヶ月から6ヶ月おいているにも関わらず、上下に動揺する場合、抜去します。

2,4,5)抜去したのちは、インプラント周囲の不良肉芽をしっかり掻爬し、その後2次治癒をはかります。一切なにも撤去場所には挿入いたしませんし、創は減張切開はせず、つまり1次治癒はさせません。

3)骨に結合している部分があり、撤去できないということは、撤去しなくてもインプラントはインテグレーションする可能性があるわけであり、撤去は中止してください。あくまで撤去しなければいけない状態というのは、ピンセットでつまむだけでとれるものをさします。

先生、AQBインプラントは再三いいますが、基本的な手技を確実に行えば、われわれの多少のtechnical errorはインプラント自体が助けてくれます。他社のインプラントでは、骨伝導能がないため、いろいろな手法がとられているだけです。その点をもう一度認識していただければ、先生の技術をもってすれば、もっと容易に臨床がうまくいくのではないでしょうか。大上段にものをいってしまい、失礼いたしました。同じユーザーであり、私もまだまだ勉強途中の人間です。一緒に、頑張りましょう。

  質 問  

お忙しい中での丁寧なお指導、本当にありがとうございます。
もっとがんばらないと、と思うばかりです。
先生の見解で本当にいろいろ勉強になりました。

今回のケースはもう少し様子をみていいのでしょうか。
動揺が出てきたらいよいよ抜去、と考えていいのでしょうか。

実は今日も先ほどAQB埋入オペがあり、このケースのことがあり緊張しました。
5MSを植立する予定でしたが、結局4SSの植立となりました。
予後が追えるまで心配ですが、無理をせず、既存の骨に合わせた形で行う方が結果良好である、と今は考えています。

  回 答  

先生のおっしゃる通りであります。既存の骨にうまく大きさ、長さを適応させ、基本的な外科手技によって手術をする。いわゆる無理をしないことが、成功につながると私は信じて、日々の手術を行っています。今回の症例も、動揺をきたしていないのであれば、十分掻爬し、もう一度最初から創傷治癒をはかることが大事です。

AQBのバイオインテグレーションは半端ではなく、骨、骨膜、HA coating層、血餅によって、だれがやっても骨が造成されます。われわれは、しっかりとした創傷処置をしてあげるだけです。余計なものは、一切使わないでAQBインプラントに頼って手術をしてみてください。きっと良好な結果を得ることでしょう。頑張りましょう。

  質 問  

1/19、患者さんが抜糸で来院されました。
歯肉はエアでインプラント体から離れ、本来ならば骨に埋まっているだろうインプラント体がみえるような状況でした…。
動揺はないので今はただ経過を見ていくばかりと理解しました。

また追って報告させてください。

  回 答  

術後1週間では、縫合のとき、上皮の角質層部分を巻き込んで縫合しますと確かにインプラント体と結合せず、ぷかぷかういてしまいます。しかし、このような場合はあせらず、この空隙にペリオフィールなどの抗生物質を腔内に注入していただければ、2週間ぐらいで、下から上皮が再成してまいります。いわゆる2次治癒をはかっているようなものです。
心配しないでください。縫合のときに必ず骨膜部分がインプラント体にくっつくように縫合するよう心がけてください。
私は、術後の瘢痕拘縮を考慮し、わかりやすい表現をするならばちょうどまさにタートルネックのセーターのようにインプラント体を包み込むように縫合しています。参考になればと思います。先生なら大丈夫です、頑張りましょう。

  質 問  

1/23、大変参考になりました。
ペリオフィールを注入して様子を見ています。

AQBを使用し始めた当初はサーキュラーナイフで歯肉を切って縫合していまいした。
途中歯肉がもったいないように感じ、いいことなのか分かりませんが、縫合ができないときは、少しメスで切り込みをいれるなりでそのままの歯肉を縫合しています。

今日は以前GBRをして骨が出来ていると判断しインプラント埋入予定の患者さんのオペでしたが、以前入れた非吸収性HA補填材がポロポロこぼれ落ちてきてしまい、埋入をあきらめ縫合しました。
一壁性の骨欠損部へのGBRでしたが補填材の配合がいけなかったように思う今日のケースでした。
GBRのオペ自体はかなりうまくいっていたように感じていただけに、患者さんには申し訳なかったです。
縫合の際、どうするかとても悩みました。
最近とくにGBR、ソケットプリザベーション時に骨補填材を大量に入れたケースにおける骨の未成熟が多く、先生からのご教示が身にしみます…

とにかくご教示ありがとうございまいました。
またご報告、ご相談させてください。
何卒宜しくお願い致します。

  回 答  

私が、補填材を使用しなかったり、人工膜を使用しないのは、本当のところ以下の理由があります。
私が、大学を卒業したのち、入局させていただいた埼玉医科大学の高久名誉教授は、顎関節の世界的に有名な先生です。この先生が、関節円板切除後に、世界では、みんな中間挿入物を円板切除後にいれていたのにもかかわらず、何もいれず機能改善を図っていました。これは、入局した大学をまちがったかなと真剣に、研修医のとき思っていました。

しかしながら、たくさんの手術患者をみていると、みんな機能障害はみるみる改善し、食事を実においしく食べていました。そこで私は、骨に関する文献、教科書を整形外科領域のものまで含めていろいろ勉強させていただきました。そこで、なぜ自分の師匠は、このような手法をとるのか、すこしばかり理解できるようになってきました。

その後、術後10年から20年たった手術患者をリコールしてMRIを撮像したとき、Psuedo discという組織が発生していることがわかりました。その間、米国では、中間挿入物がすべて異物として、感染を起こし、除去されていたという事実がありました。
なるほどと理解させていただきました。人がやるから、やるのではなく、生態学的に物事を真摯に考え、理屈にあった処置をすること。このように私は、本を読めば読むほどわかるようになりました。手術をすればするほど手技がsimpleになっていく。格好つける年でもないし、私は、臨床に対しても信念をもって対応しています。歯科の先生は、もっと骨の代謝に関して基礎から勉強するべきだと、私は最近痛感します。

先生が、私が話している内容に少しでも理解していただければ、このサポートも有効な手段と考えます。先生、おたがい頑張りましょう。まだ、まだ私も勉強が足りません。日々努力の毎日です。

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