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症例・研究投稿
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 2008年8月24日(日)、東京都・東京商工会議所にて第1回日本先進インプラント医療学会(AIM)総会・学術大会が開催され (大会長:AIM理 事長・千葉博茂先生)、大盛況のうちに終了しました。
 第1回学術大会における、先生方のご講演記録をPDFにて掲載しております。
(各ご発表の完全版( 画像付詳細記事) は会員ページ内のAIM情報ページにてご覧頂けます。 AQBホームページ会員にまだ登録されていない方は、登録ページよりご登録ください)
特別講演(敬称略)
■ 「人工骨の開発と臨床応用」
京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学講座整形外科学教授
中村 孝志

教育講演(敬称略)
■ 「骨粗鬆症と顎骨動態」―エストロゲン欠乏やビスフォスフォネート投与による顎骨変化―
朝日大学歯学部口腔構造発育学講座口腔解剖学分野教授
江尻 貞一

シンポジウムT(敬称略)
「インプラント埋入法を探る」
 ―1回法か2回法かの選択は必要か―
■ 「流れはImmediate functionの方向へ」
Maxis Implant Institute 主幹
波多野 尚樹
■ 「シンプルなAQB1ピース1回法に取り憑かれて」
杵渕歯科医院院長 東京医科歯科大学非常勤講師
杵渕 孝雄
■ 「1ピース1回法の限界を探る」
三井記念病院歯科・歯科口腔外科部長
津山 泰彦
■ 「1回法と2回法の選択基準」
UCデンタルインプラントセンター所長 東京医科歯科大学臨床教授
菅井 敏郎
■ 「選択は埋入前中にも状況を判断」
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学歯科補綴学講座准教授
北條 了

シンポジウムU(敬称略)
 「インプラント埋入時の医療事故をいかに防ぐか」
 ―下顎管や上顎洞底への穿孔防止、安全な埋入術式の工夫―
■ 「安全かつ正確なインプラント埋入のために」
中谷歯科医院副院長 大阪大学歯学部臨床教授
堀内 克啓
■ 「下顎管と上顎洞底を配慮したインプラント埋入法」
日本歯科大学附属病院インプラント診療センター長
高森 等
■ 「レントゲン診断と歯槽骨形態診断の落とし穴」
医療法人健歯会飯野歯科医院院長
椙岡 宣好
■ 「まず、骨と対話せよ!」
東京医科大学口腔外科学講座講師
松尾 朗


◇特別講演◇


「人工骨の開発と臨床応用」
京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学講座整形外科学教授
中村 孝志
 骨は荷重を支えることとカルシウムのリザーバーとしての働きをしている。 人工骨は荷重をささえ、構造を維持することを目的とし、移植骨の代替えとして用いられる生体材料の総称である。
 骨組織は98%が基質からなっている。骨基質はコラーゲンを中心にした有機成分とアパタイトを主成分とする無機質のいわゆる複合材料である。 これが骨の強度を保つ基本となっている。骨欠損を補うには腸骨や腓骨を用いた自家骨移植がゴールドスタンダードである。 しかし、自家骨には量的な制限と採取に侵襲がともない、代用に同種骨が用いられている。 しかし、同種骨は我が国では骨バンクの組織が不十分で入手しにくく、また、感染の危険性がある。 この点から、自家骨に代わる人工骨の開発がおこなわれてきた。
 人工骨には様々な材料が用いられてきたが、骨の無機成分であるリン酸カルシウムを用いたセラミックスが人工骨として開発されてきた。 とりわけ,アパタイトやリン酸カルシウムを含有するガラスやガラスセラミックスが骨と結合できることが明かとなり、人工骨の材料として開発されてきた。 1970年代から80年代にかけて水酸アパタイト焼結体、三リン酸カルシウム焼結体、ガラスセラミックスなどが開発された。 これらセラミックスは体液中での溶解性に大きな違いがあり、焼結条件によっても異なってくるが,基本的に体液の条件では焼結アパタイトは安定であり、三リン酸カルシウムは溶解する。 この点を利用すると焼結三リン酸は吸収性材料となる。人工骨の吸収と骨形成がうまくシンクロするには、材料だけでなく移植部の骨の条件に依存することを考慮することが重要である。
 一方、セラミックス材料は脆性であり、リン酸カルシウム系セラミックスでは使用部位によって、機械的強度が不十分であり、これを補う材料が必要で、チタンなどの金属の多孔体やファイバーメッシュが開発されている。 しかし,水酸アパタイトの持つ骨親和性を得るにはチタン表面の処理が必要であり、さまざまな試みが行われている。 一方、本来骨が複合材料であることを踏まえてセラミックスとポリマーの複合化による新機能獲得も試みられている。 ポリマーはコラーゲンやポリ乳酸が使用され、緻密体や多孔体で臨床応用が始められている。これらの複合材料は骨に置換されることを目指したものである。
 骨形成には骨伝導と骨誘導が知られ、前者は骨が材料にそって増殖するものであり、後者は骨組織の無い場に骨が形成されるものである。 通常の人工骨では前者の様式で骨が形成される。後者は骨誘導因子が中心となる。人工骨に骨形成能を高めるには骨誘導因子との複合化が期待されている。 最近、アパタイトや生体活性の材料の多孔体が筋肉中で骨形成を示し,骨誘導能を示すことが報告されている。 一方、骨髄細胞を多孔体に入れることで骨細胞に分化誘導され、骨を形成することから、骨髄間葉系幹細胞を用いた再生医療による骨補填が研究されている。 このような新しい手技で、侵襲性が低く、従来治療不能であった骨欠損に対処する方法が研究されている。 本講演では当教室の研究を中心に最近の人工骨のトピックスについてお話する予定である。

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◇教育講演◇


「骨粗鬆症と顎骨動態」
―エストロゲン欠乏やビスフォスフォネート投与による顎骨変化―
朝日大学歯学部口腔構造発育学講座口腔解剖学分野教授
江尻 貞一
 近年、我が国は先進国の中でも類を見ない速さで高齢化が進行しているが、このような急速な高齢化社会の進行に伴い、インプラント治療を行う際においても高齢者における顎口腔の解剖学的・生理学的特徴を把握し、さらには個々が有する全身疾患をも配慮した治療体系の確立が要求されている。

 これら高齢者に生じる疾患の中で、閉経後女性においてestrogenの急速な欠乏によって生じる閉経後骨粗鬆症は、罹患率が高く大腿骨骨折などの重篤な臨床症状を惹起することから深刻な社会問題となっているが、歯科領域においても、エストロゲン欠乏が顎骨に及ぼす影響について関心が高まっており、研究報告が年々増えてきた。

 それらの研究は疫学的調査によるものが多いが、喪失歯数、歯槽骨の骨量減少および顎堤吸収の重篤さなどが全身的骨粗鬆症と相関関係があるという報告や、女性の下顎骨骨密度が閉経後に加速的に減少すること、さらに下顎骨と腰椎の骨密度が高い相関を有するという報告などもある。

 しかしながら、エストロゲン欠乏によって生じるヒト顎骨の変化は今だ明確にされていると言えず、その病態解明がインプラント治療のみならず歯科領域全般における急務とされている。

 本教育講演では、エストロゲン欠乏による顎骨の変化を明らかする目的で、ここ数年にわたり検索してきた卵巣摘出ラットやサルにおける顎骨動態変化について紹介するとともに、現在、歯科領域で緊急の課題となっているビスフォスフォネートによる顎骨壊死の発症メカニズムに関する基礎的知見も紹介したい。

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◇シンポジウムT◇


「流れはImmediate functionの方向へ」
Maxis Implant Institute 主幹
波多野 尚樹
 患者になり治療を受ける立場になって初めて医療に対して求めるものはまず、安全であること、次に予知性があること、痛くないこと、治療時間が直ぐに終わること、 そして、高価でないことに収束できると思う。その次に、住まいの近くで気軽に相談でき、治療を受けられればそれに越したことはないと思われる。
 今回のテーマである一回法か二回法かもこのクライテリアに照らし合わせるとわかりやすいだろう。一回法であればそれに越したことはない。 1991年、デンマークのDr.Gotfredsonの論文にサルのインプラント治療の報告がある。 歯磨きをする一群としない一群のサルの集団を、インプラントを一回法と二回法で実施する計4群に分けて治療を行い、治療後のインプラント周囲軟組織、硬組織の変化を比べた。
 まず常識で考えて、歯磨きをせず、一回法で治療をしたサルは、開し縫合したインプラント周囲にプラークが大量に付着して予後が最悪であると思われた。 歯磨きをし、二回法で治療したサルが最良の結果を残したと誰もが想像にかたくないと思われるが、結果はサルではまったく差がなかった。
 その後、歯を磨く人間で一回法、二回法の多くの比較がなされたが、人間も差はなかった。 次に考えられる比較は一回法のインプラント体に埋入すると同時に機能を付与する、Immediate functionまたImmediate loading という治療法へと移っていく。
 1981年にDr.Adelらの提唱したHealing 期間を置く二回法が今でもTraditional protocol として圧倒的に用いられているが、患者さんの治療のクライテリアに照らしてImmediate functionの方向へと向かっていくことはまちがいないと思われる。
 そのImmedeate function,Immedeate loading の現状を話したいと考える。

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「シンプルなAQB1ピース1回法に取り憑かれて」
杵渕歯科医院院長 東京医科歯科大学非常勤講師
杵渕 孝雄
 AQBインプラントは、治験時代の1989年から2002年の2ピースオプション発売までの13年間、1ピースのみであったため、演者はほとんどすべての欠損症例に1ピースで対応するには、どうすれば可能かという観点で治療計画を立て、臨床上さまざまな工夫をして来た。 幸い、AQB1ピースインプラントの優れた諸特性のために、基本的に1ピースでもほとんどの欠損症例に問題なく植立・補綴ができてきたのが実情である。 しかし、こういうケースには2ピース1回法あるいは2回法の方が向いているのかなと日頃感じていることを中心に演者なりに1回法と2回法の選択について考察してみようと思う。
 1ピース1回法が成功する要件として演者は主に3つ考えられると思う。 1つめは早期に骨結合が得られること、2つめはシンプルな術式であること、3つめは支台部の方向調節性があることである。 最初の早期の骨結合という点では、多少初期固定が悪くても、徐々に骨結合するという性質が望まれる。 AQBでは純度の高い再結晶化HApコーティングにより短期間に骨結合に導くことができる。 審美性を要する部位ではTekが必要であるが、初期固定よく植立できていれば当日や翌日にTekが入ってもトラブルは少ない。 2つめのシンプルな術式という点では1ピースの場合、骨に入るHAp被覆部の長さ、粘膜の厚さ、口腔内に露出する支台部の長さ、さらに対合歯までのクリアランスなどすべてを勘案して、術者が想定した通りに植立できるためには、インプラント体の形態が単純な円柱体である必要がある。 それによりインプラント窩の形成は単純な円筒形で済み,ほぼ想定通りの植立ができる。AQBではまさにそのコンセプトで植立システムが組まれている。 複雑な形態のインプラント体では想定通りのインプラント窩の形成と植立は難しい。 3つめの支台部の方向調節性という点では、AQBの場合、支台部分にもともとテーパーが少なく、支台歯形成時に、かなりの方向調節性を持たせたシステムとなっている。 すなわち可能な限り好ましい方向に植立し、不足分は支台歯形成時に調整するということでほとんどの症例に1ピースでも対応可能となる。 これらの重要な3つの要件をAQBが満たしているため、1ピース1回法として極めて適応範囲が広くなっているのだと思う。 ただし、1ピースは植立時から支台が口腔内に出ているため、無歯顎や不安定な大きな有床義歯のある口腔内では外傷にさらされやすく、骨結合に導くのが困難な場合がある。
 2ピース2回法は増骨を期待しながらフィクスチャを埋入し、後日必要に応じて角度付きアバットメントで歯冠軸を調整する補綴主導システム、1ピース1回法は植立術時に顎骨の形態と対合歯との位置関係を詳しく観察し、顎骨のどの部位にどの方向でどのサイズのAQBを植立しようかと思案をめぐらして決める既存骨重視システムといえるように思う。 また、2ピース1回法はその中間のシステムと位置づけられる。 そのため、2ピース2回法を選択すべき症例は、増骨処置と同時にフィクスチャーを埋入し、オーバーデンチャータイプの暫間補綴で対応したい症例で、比較的多数歯欠損や無歯顎に対して一度に多数歯埋入の手術計画を組みたい時などに有効なシステムであると思う。
 2ピース1回法は植立術は既存骨を重視した1ピースシステムに近く、植立後はマルチアバットメントが粘膜から顔を出しているが、暫間補綴はオーバーデンチャーが使えるので2回法に近いという特徴がある。 そのため2ピース1回法を選択すべき症例は、増骨を必要としない顎骨に対して、植立できる部位にまず植立し、上部構造は後日よく検討してから決めたい時などに有効なシステムであると思う。
 これら2ピースの選択が向いている症例以外は基本的に1ピース1回法で対応可能というのが、長年1ピースAQBを植立してきた演者の選択基準で、それらの症例を供覧しようと思う。

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「1ピース1回法の限界を探る」
三井記念病院歯科・歯科口腔外科部長
津山 泰彦
 私が、AQBインプラントに出会って16年が経過した。この間,実際のインプラント臨床を通じてAQB1ピースインプラントのすごさを魅せつけられた。 1990年代、下顎では3ヵ月、上顎では6ヵ月の待機期間が必要であるといわれてきたが、AQB1ピースインプラントではその初期固定の早さから、補綴までの期間が通常の植立であれば、約2ヵ月と大幅に短縮し、患者さんにも大きな恩恵を与えた。 また、サイナスリフト法においては骨移植や人工移植の必要性がいわれているが、AQB1ピースインプラントの再結晶化HAにおける骨誘導能により、植立後4ヵ月前後で骨が再生してくることが確認された。 そのため、骨移植や人工移植の必要性がなくなり、患者さんにとっても手術侵襲の軽減につながり、われわれ医療者側もサイナスリフトが身近に感じられるようになった。 このように私のこれまでのインプラント臨床もAQBインプラントの恩恵を受けてきた。
 そこで今回のシンポジウムの主題である1回法か2回法かの選択については、以下のような内容で私のこれまでの臨床から得られた知見を説明する。
  1. AQB1ピースインプラントを用い、骨移植や人工骨移植をしないサイナスリフト法についての術式のポイントと臨床成績
  2. AQB1ピースインプラントを用いた抜糸即時インプラントの術式のポイントと臨床成績
  3. AQB1ピースインプラントを用いた即時加重インプラント、特に全顎症例での術式のポイントと治療成績
次にAQB2ピースインプラントを用いた症例を説明する
  1. AQB2ピースインプラントを用いたGBR法の術式のポイント
最後にまとめとして以下の点について説明する
  1. なぜ、2回法を選択したのか、1ピース1回法ではできなかったのか
  2. 1ピース1回法が適応できない症例について
  3. 1ピース1回法を行う上で、症例ごとのポイントと術後管理
 インプラント治療においても医療者側,患者側ともに手術侵襲をできるだけ少なくし、治療期間を短くしたいと考えている。 そのためには1ピース1回法の選択がこの理念に相当することは間違いない。 しかしながら1ピース1回法の選択ができない症例があることも事実であるが、私の報告を聞いていただき1ピース1回法ではできない症例の幅が狭まったと先生方が感じられ、明日からの臨床の一助となれば幸いである。

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「1回法と2回法の選択基準」
UCデンタルインプラントセンター所長 東京医科歯科大学臨床教授
菅井 敏郎
 オッセオインテグレーションの概念に基づいたインプラントの臨床応用が開始されて40年以上経過し、その臨床成績の高いことからインプラント治療は歯科治療の一分野として確立されてきた。 そのインプラント治療も、時代とともに大きな変遷を遂げている。
 オッセオインテグレーションの概念を確立したBranemark等は、インプラントがオッセオインテグレーションを獲得するためには骨内に一定期間安静に保ち負荷を加えないことを重要とし、2回手術法を推奨した。 2回手術法では骨内に埋入したインプラントを粘膜骨膜弁で被覆するため、インプラント体(フィクスチャー)とアバットメントの2ピース構造を採用している。 これに対し、幾つかのインプラントシステムでは,1回手術法によってオッセオインテグレーションを獲得できることを証明し、インプラント体とアバットメントが一体になった1ピース構造を採用している。 その後,2回手術法のための2ピース構造インプラントを1回法で埋入し、オッセオインテグレーションの獲得やインプラント生存率には1回法と2回法とに差がないことが報告されている。 さらに1ピース構造・1回法の利点を強調してきたインプラントシステムにおいても、2回法用の2ピース構造インプラントを製品に加えるようになってきている。
 2ピース構造インプラントを1回法で用いる利点として、手術が1回で済むことのみならず、インプラント頸部を浅めに納める骨縁上埋入(supracrestal placement)によりアバットメント連結部を骨縁上に位置させることで辺縁骨吸収を抑制できることが知られている。 1ピース構造インプラントの欠点としては、インプラント手術後に有床仮義歯を装着するような場合に過重を受けやすいこと、骨の形態からインプラント埋入方向(角度)に制限がある場合にアバットメントでの方向(角度)是正ができないこと、上顎前歯部等の審美領域での使用に制限があること等が述べられている。 さらに、インプラント埋入と同時にGBRや骨移植等の骨造成を行う場合には、メンブレンや移植材を粘膜骨膜弁で完全に被覆できる2回法が好まれる。 即ち、1回法と2回法にはそれぞれの利点と欠点があり、症例によって使い分けるべきであると考えられる。
 今回の講演では、1回法と2回法に関し、これまで報告されている論文を紐解きながら、臨床経験を基にして演者の考えを述べてみたい。

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「選択は埋入前中にも状況を判断」
神奈川歯科大学顎口腔機能修復科学歯科補綴学講座准教授
北條 了
 進化しているデンタルインプラント。 特にチタン製インプラント表面への微小粗造化技術開発あるいは再結晶化ハイドロキシアパタイトコーティング技術は治療期間の短縮や条件の悪い症例への適応などさまざまな恩恵を患者にもたらすことができた。 これにともない補綴手法も変化した。 審美領域に対する即時荷重型補綴修復法や部分欠損あるいは無歯顎症例に対する早期荷重型補綴修復法など1965年当時にはない治療概念が現在では定着した。 近年では無歯顎症例に対し規格化された即時荷重型インプラントシステムも考案され、手術の当日には患者の咀嚼機能を回復させることが可能となった。 従来の治療法や前述のようなインプラント治療を進めるにあたり術前検査が重要なことはいまさら再検証する必要もないであろう。
 一般に術前検査で得られたデータを基にTop Down Treatment Plan を立案。インプラントを埋入し以降,計画にそって補綴処置へと移行していく。
 今回のシンポジウム1『インプラント埋入法を探る―1回法か2回法かの選択は必要か―』 のテーマについて、補綴修復法の観点から考察した場合、インプラントがOsseointegrationを獲得するまで粘膜下でHealing するかあるいは即時または早期にLoadingするかの選択は、治療計画立案最初にDefinitiveによる補綴法を選択すれば2回法。 即時荷重による補綴または早期荷重による補綴法を選択すれば1回法と単純に分けることができるであろう。
 また、一般的観点から術後感染の危険性、骨質の良悪、Bone Graftの有無、埋入トルク値やISQ値の数値などの状況からOsseointegration が阻害されるリスクファクターレシオが高い場合には2回法を選択するのがベストであろう。
 これを裏付けるかのように近年のインプラントメーカーも、以前は1回法のみであったシステムが2回法も容認した製品をラインアップするなど、さまざまな手術方法に対し対応できるようになった。 しかし一方では1回法を新たにラインアップするメーカーもありライトユーザーにとっては混乱を招く状況であるのも事実である。
 以上を踏まえ、演者は埋入前中後の状況によって1回法あるいは2回法の選択を術中でも判断しなければいけないと進言したい。

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◇シンポジウムU◇


「安全かつ正確なインプラント埋入のために」
中谷歯科医院副院長 大阪大学歯学部臨床教授
堀内 克啓
 インプラント治療が欠損補綴の第一選択と考えられるようになり、手術件数が急速に多くなる一方で、トラブル症例も増加している。 特に、症例頻度の高い下顎臼歯部では下顎管の損傷による下唇知覚障害が問題となることが多く、訴訟となるケースも少なくない。 また、上顎臼歯部では歯槽頂から上顎洞底までの距離が短い症例が多く、上顎洞底挙上術の考慮も含め、インプラント埋入にはかなりの配慮を必要とする。
 最近では医科用CTや歯科用CTにて顎骨形態を術前に把握し、かつコンピューター上でシミュレーションした通りにインプラント埋入を行えるサージカルテンプレートを依頼作製することも可能であり、上記のようなトラブルを回避できるようになっている。 しかし、費用や時間的な制約から、すべての症例で用いることは必要ないと考えられる。
 本講演では、部分欠損症例におけるパノラマX線写真による効率的な画像診断、簡便に作製されたサージカルテンプレート、歯槽骨造成のガイドライン、そして慎重なドリリングにてトラブルを生じないインプラント埋入法について解説したい。
 そして、無歯顎症例では即時荷重が第一選択であり、コンピューター・シミュレーションを応用したNobelGuide Systemを用いることにより、安全かつ正確なインプラント埋入が可能となり、術前に作製した暫間補綴物も短時間の調整で装着できる利点もある。 通常はflapless surgeryとして用いられるため適用症例が限定される。 そこで、flap surgeryにも応用でき、かつ骨造成も行えるmodified NobelGuide Systemを用いることにより、すべての症例に適用できるようになったので、この変法についても言及したい。

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「下顎管と上顎洞底を配慮したインプラント埋入法」
日本歯科大学附属病院インプラント診療センター長
高森 等
 インプラント埋入時のトラブルのなかでも、下顎管の穿孔などによる下歯槽神経損傷は下唇やオトガイ部の知覚異常を引き起こし、患者にとって不快感が強く、治療が長期におよび、しかも完全に回復しないことが多いため訴訟にまで至ることが少なくない。
 原因はドリル使用時やインプラント埋入時に深く挿入したことがほとんどで、損傷を防ぐには、術前のX線診断が重要となる。 パノラマX線写真で下顎管までの骨量を測定するには、拡大率を補正するスケールなどを用いることになる。 しかし、顎骨の幅径や形態を把握することができないためCT撮影が必要となるが、得られた多断面変換画像は必ずしも正確に顎骨の状態を表しているとは限らない。 そのため、我々は、術中に顎骨の形態を視診や触診により把握し、さらに歯槽頂からオトガイ孔までの距離を計測し、 CTによって得られたデーターと照らし合わせて最終的なインプラントの長さを決めている。 また、ドリル使用時には先が鈍となっているプローブで触診しながら埋入窩を形成し、インプラントの埋入に際しては先端を下顎管から少なくとも2mm以上離すようにしている。 しかし、下顎管までの骨量が不足しているケースでは、骨誘導再生(GBR)法や仮骨延長法などを併用するが、下歯槽神経・血管束の側方移動術は、術後のオトガイ神経領域の知覚異常が避けられないため、現在は行っていない。
 上顎洞底の穿孔は、上顎洞炎がなければ問題になることはほとんどないが、それによって上顎洞内にインプラント体を迷入させることがある。 穿孔を防ぐには、術前のCT撮影が必要であり、ドリル使用時にプローブを用いることは前述と同じである。 骨質が非常に軟らかく、上顎洞底の皮質骨が薄いケースではオステオトームを用いて埋入窩を形成している。 また、上顎洞底までの骨量が不足しているケースでは、上顎洞底挙上術やソケットリフトなどを併用している。 講演では、実際例を挙げながら述べる予定である。

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「レントゲン診断と歯槽骨形態診断の落とし穴」
医療法人健歯会飯野歯科医院院長
椙岡 宣好
 インプラント治療成功率は下顎臼歯部において90%以上の成功率を述べている報告が多く、安全性の高い治療法と確立されつつある。 そのことはインプラント治療の普及に貢献し、患者も歯科医師も安易にインプラント治療を望むようになってきた。 同時に診断方法や骨造成の技術革新により、今までは不可能もしくは避けておきたい症例までインプラント治療を行うようになり、適応範囲が広くなってきた。 これらの事情は一般開業医にとって決してプラスの方向に傾いているとは思えない。 以前に比べて、よりリスクの高い治療を求められ、医療事故につながりやすい領域に埋入しなければならない時代になった。 そこで今回は、医療事故を防ぐために"安全域のインプラント治療"の適応条件を探っていきたいと思う。 特にレントゲンによる診断および歯槽骨形態診断を中心に安全にインプラント埋入を行うために必要な事柄を述べたい。
1)レントゲン診断の危険性
単純レントゲン撮影だけのレントゲン診断の危険性
オルソパントモレントゲンのレントゲン診断の危険性
医科用CTの診断の危険性
CBCTの診断の危険性
 いずれの診断方法によってもレントゲン診断のみで安全性を獲得できることは考えられない。 いかなるレントゲン診断法を用いても誤差範囲を見極めることが重要である。 埋入深度、埋入角度を安全範囲内にすべきことが安全域のインプラント治療の基本である。
2)形態学的注意事項
 粘膜を剥離してインプラント埋入を行っていても氷山の一角を見ているだけで、危険性を回避しているとは言えない。 歯槽骨内部の個人差を捉えることこそが重要である。CBCTで得られた個人差を他のレントゲン診断法と比較して、歯槽骨形態、下歯槽管形態、オトガイ孔形態を検証する。
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「まず、骨と対話せよ!」
東京医科大学口腔外科学講座講師
松尾 朗
 骨の基本構造は、外形を皮質骨に囲まれ,その中に海綿骨が存在している。皮質骨は硬く、海綿骨は柔らかい。 インプラント埋入の際、一度ドリルが硬い皮質骨を抜けると柔らかい海綿骨に達し、再び硬い皮質骨に当たる。 あたり前のようであるが、初心者はこの感覚がなかなか会得できず苦労することが多い。 逆にベテランの術者だと簡単な症例についつい気を抜いてしまい、乱暴なドリル操作で思わぬトラブルに巻き込まれることがある。 演者は今でも、埋入の際この感覚を意識しながら、step by stepで安全を確認している。すなわち、骨と対話しながら埋入しているのである。
 しかし、骨と対話するためには英会話を習得するのと同様、さまざまなスキルが必要である。 まず、解剖学的な構造の把握は全ての基礎であるが、それに加え、骨の質的な評価も把握する必要がある。 特に強調したいのは、インプラントの世界ではSerb & Reckhormの分類や Mischの分類などの「骨質」評価法が存在するが、これはあくまでインプラント埋入に限定した評価法であり、骨粗鬆症などの骨代謝疾患で使われる 「骨質」とはまったく別の概念である。骨と対話するためには両者の違いを明確に区別する必要がある。
 本講演では、まず、骨と対話するために必要な、最低限の解剖学的構造と骨質の評価に触れた後、それらが、実際に臨床を行う際、皮質骨、海綿骨、皮質骨の感覚とどう結びつくか解説する。 次いで、その感覚が通用しない場合、例えば下顎管の存在、直視できない部分での骨陥凹、海綿骨が極端に硬い、皮質骨が薄く柔らかいケースなどについて具体的に述べる。 その上で、術前、術中、術後に分け、普通の歯科医院であれば誰もができる簡単な方法から、最先端の方法までいかにstep by step で安全を確認していくか、演者が実際に臨床で行っている方法を紹介する。 さらに、それでも起こった埋入時のトラブル症例を供覧し、その対処法について紹介する予定である。

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