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AQBインプラントシステム

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■ シンプルインプラント講座 第1回
 AQBインプラントシステムの連続講座の第一弾はシンプルインプラントの提唱者の一人、杵渕孝雄先生の「シンプルインプラント講座」です。第1回目の今回は、現代インプラントの背景とAQBの誕生・総論、そして、1ピースインプラントの優位性について寄稿していただきました。


杵渕歯科医院院長 杵渕孝雄先生 

杵渕孝雄先生
東京医科歯科大学歯学部卒業。歯学博士。三井記念病院歯科・歯科口腔外科科長、などを経て、現在、杵渕歯科医院 院長。
 1ピースAQBの優位性を論ずる前に、インプラントに対して異なった様々な臨床経験や考え方をもった多くのユーザーに、まず1ピースAQBインプラントの位置づけをしておく必要がある。そのコンセンサスなくして、具体的事例を挙げて優位性のみ書いても誤解を生じる危険性が高い。そこで、第1回は1ピースAQBの総論として優位性にふれることにした。

現代インプラントの黎明
 1980年代にブローネマルクがチタンによるオッセオインテグレーテッド・インプラント(Osseointegrated Implant) を世に出してから、現代インプラントは急速に予後の安定した、十分に信頼に値する欠損治療法として世に普及してきたことは周知のことである。チタンという金属はきわめて酸化し易く、その表面は酸化チタンという被膜で覆われている。生体にとってその酸化チタンが異物としてみなされにくいという特性のため、骨に間隙なく密着して埋入された場合、線維性結合組織の介在なく骨と接するという特性があり、これをブローネマルクがオッセオインテグレーション(Osseointegration=骨接合)と命名したわけである。

現代インプラントの3様式とその位置づけ

▲左から1P1回法、2P1回法、2P2回法の様式
 ブローネマルクインプラントは初めに骨の中にフィクスチャーを埋入し、それがオッセオインテグレーションするのを待ってから開窓手術を行い、ヒーリングアバットメントを接続して歯肉貫通部の治癒を待つ。その後、支台としてのアバットメントを接続して上部構造の作製へと進むことになる。この形式が2ピース2回法のインプラントである。その後、フィクスチャーを骨に埋入するのではなく、歯肉を貫通して表面にヒーリングキャップを装着して治癒を待つ2ピース1回法も普及してきた。
 AQBインプラントはさらにフィクスチャーとアバットメントが1本につながった1ピース1回法のインプラントである。

1ピースAQBインプラント開発の経緯
 1983年に東京医科歯科大学付属医用器材研究所で開発し、旭光学から発売されたハイドロキシアパタイト焼結体インプラントであるアパセラムRはバイオインテグレーション(Biointegration=骨結合)というそれまでのインプラントに無いすばらしい長所の反面、インプラント単体としては材質上脆く折れ易いという欠点があった。
 AQBインプラントは、それを解決するためインプラント体をチタンで、骨に埋入される部分にハイドロキシアパタイトの薄膜コーティングを施したものという発想で1985年から研究開発が進んだ。ただし当時のプラズマ熔射法によるコーティングでは純度の点で問題があったため、それをクリアすべくさまざまな研究が行われていた。そんな時期に、(株)アドバンスの研究チームが医用器材研究所で開発したのが再結晶化ハイドロキシアパタイトコーティングという技術である。きわめて純度が高く、短期間に骨結合するため、1ピース1回法のインプラントとして成立しうるという確信で1988年秋から試作品を作り、三井記念病院歯科口腔外科で治験が始まった。
 1991年からは日本歯科大学第2口腔外科にも治験施設が拡大され、それらの臨床成績をもって1992年に申請し、1994年認可され製造発売となったという経緯がある。

開発のコンセプト
 AQBの開発がスタートした1985年当時は、2ピース2回法インプラントの全盛期であったが、将来は特殊なスペシャリストだけがインプラント治療をするのではなく、一般臨床医(general practitioner、以下GP) がインプラントを導入する時代になることを予見して、1ピース1回法、植立術式と手術器材の単純化など「シンプル イズ ザ ベスト」の精神でシステムの開発が行われた。
 その後、短期間での骨結合、高い咬合支持能力、少ないトラブル、安価な製品価格などの多くのメリットのため、全国的にユーザーが増え、日本のGPの代表的なインプラントとして成長してきたことはご存知の通りである。

2回法、2ピース派からみた不安点
 1回法のため、初期の感染や骨吸収が多いのではないかとか、1ピースのため前歯部では歯冠軸が変えられないため適応症に制限があったり、審美補綴が難しいのではないか、等の質問を、筆者はよく受ける。
 確かに1回法であるため、植立初期の感染は2回に比べて多いかもしれないが、当初予想していた発生頻度に比べて、ほとんど問題にならないほど少ない。
 また、前歯部の歯軸も最終的に支台歯形成をするので、それで調整できる範囲内の歯軸で植立する工夫をすれば、適応症の制限は感じない。

1ピースAQBの臨床上の特徴・長所
 また、AQBはバイオインテグレーションするため、上下顎いずれにおいても咬合支持能力に優れ、特に咬合力の強大な少数歯遊離端欠損症例においても、何ら問題はなく長期臨床成績もよい。
 補綴物作成時は、歯肉縁下まで支台歯形成して印象し、そのマージンから近遠心側と唇側で直ちに歯冠を豊隆させてEmergence Profileを作れば、2ピースと遜色のない審美性が得られる。むしろ歯肉縁下につなぎ目がない分、ペリオの観点からも好ましく、審美性も持続しやすいのではとさえ考えている。
 さらに上顎臼歯部にソケットリフトで植立する場合にも、AQBインプラントにはフィクスチャーの長さが6mmの製品(#468、#568等)があり、かつ純度の高いアパタイトコーティングが短期間に新生骨を作るため、特に骨補填材を必要としないなど多くのメリットがある。

GPからスペシャリストにまで適応可能

▲開業医の先生方にもシンプルに使えるのがAQBの特長です。(写真提供、杵渕歯科医院)
 たかが1ピースと思いきや、工夫次第でさらにいろいろなメリットを引き出すことができ、そのポテンシャルの高さを痛感しているのが現状である。毎週何例も植立するようなスペシャリストや大学病院インプラント科なら、パーツや術式が複雑でも、その手術精度を維持できるかもしれないが、GPの先生方にとっては、パーツや術式はシンプルな方が問題が起きにくいことは確かで、その点AQBインプラントは最適と考えている。また、上記の工夫をすることで初心者のみならず、上級者にも十分応えられるインプラントであると思う。
 開発段階から関与し、17年以上植立してその魅力にとりつかれ、AQBインプラント研修会の講師を務めて12年以上になるが、今回から1ピースAQBインプラントの優位性についてまとめてみる。
 次回を、乞うご期待。


 
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